日常コレクション
存由紀乃
2025.08.20
2026春夏、ファッションウィークの季節がやってきました。パリ、ミラノでメンズコレクションが開幕。ジョナサン・アンダーソンによる新生<ディオール>が注目を集めるなど、今シーズンも見所たっぷりです。
中でも私が惹かれたのは、<ポール・スミス>、<フェン・チェン・ワン>、<メゾン ミハラヤスヒロ>の、“持ち物”の演出。

買い物バッグに花束、スナック菓子の袋。日用品を手にしたモデルたちは、ランウェイを歩きながら暮らしの続きをまとっているよう。
昨今のコレクションでは、服そのものよりも、着る人のストーリーを感じさせるような演出が増えている印象です。誰かに贈るような気配や、「私はこれを持ってるよ、見ていいよ」という、ある種の控えめな自己表現が、今のムードを象徴しているのではないでしょうか。
ここだけの話、私にも密かな“コレクション”があります。それは、買い物のあと思いがけず手にしたアクセサリーたち。エコバッグを忘れてしまった日に、買ったものをそのまま手に持って帰るときがあるのですが、偶然にもその日の服と荷物がマッチすることが。暮らしとファッションが重なり合う瞬間に、心がときめくのです。

日々膨大な情報をスクロールしているうちに、自分の感覚や日常までもがその波に押し流されてしまいそうな気がしていた最近。今季のコレクションには、そうした感覚にそっと寄り添うような、日常を置き去りにしないための小さなヒントが散りばめられていました。

存由紀乃/
制作部
制作部
「たもつ」と読みます、存です。神戸から上京してはや4ヶ月。週末は東京の観光名所を満喫中。印象に残ったのは、大相撲五月場所の観戦と東京バレエ団『ジゼル』の鑑賞。制作部の先輩に教えてもらった「激走!!首都高スリル体験ツアー」も最高でした。